外人戦記:実はブラジル人はサッカーが嫌いなのか?

結論から言おう:サッカーが嫌いというよりもサッカーを取り巻く弊害が嫌いな人が多い

どうも、久しぶりです。

たまに忘れたり、都合の良い時に思い出したりするけど、今となってはもう日本の方が長いが、そういえば筆者はサンパウロ生まれのブラジル人である。筆者を知らない、初対面の人が何気ない雑談の話題として高確率に振ってくるのはサッカーの話題である

いや、ネイマールなんて知らねーよ、誰だよそいつ、とイチローを知らない日本人並みの変人っぷりだろうなと思いながら。ネイマール=パナソニックの耳につけるアクションカメラのCMをやったという認識があるのはカメラマン故だろうな。

そう、ブラジルと言えばワールドカップ5回も制覇し、数々の強豪クラブに選手を輩出しているサッカーの絶対的覇者にして本場の国。

ブラジル人が熱狂的なまでにサッカー好きであることはもう周知の事実でそこまで多く語るまでもないだろう。しかしそれ故の反動かそれと同じぐらいサッカーが嫌いな人もいる

3大NG話題:宗教、政治、そしてサッカー

人々は時に分かり合えない生き物である。互いに正義を主張し、両者共に引かない以上争う運命から逃れられない。現に歴史がそれを証明している。

実際ブラジルでは宗教の価値観の違いによるは弾劾は珍しくないし、左派と右派のデモ隊がぶつかり合って死傷者が出る話も日常茶飯事。ここは南米の地。苛烈な論争が日々繰り広げられており、異を唱える相手を力で排除することも厭わない国だ。ツイッターで解釈違いやカップリング論争で揉めているジャパニーズ腐女子の方がまだ数百倍可愛げがあるだろう。

しかし祈るべき神と政治より大切で神聖なものがある:それはサッカーだ

応援しているチームが違うというだけで人間(というかブラジル人)という生き物は分かり合えない。フレンドリーな民族で知られているブラジル人も宗教、政治、そしてサッカーの話題の前では変貌してしまうので、タブーとするのが現地の一般的な常識である。

え?たかがサッカーで熱くなっちゃって、バカじゃないの?

サッカーファン同士の敵視

現地でサッカーをバカにしてみろ!刺されても文句言えないぞ!まあ、死んだら文句の言いようもないと思うがな!HAHA!

サッカーそのものに罪はないだろう。海外で国を代表する競技であり、グッズの販売等で地域の経済を潤し、がんばれば有名クラブに入れるという夢を子供たちに与えているなど、利点もかなりある。

しかし恐らくサッカー嫌いなブラジル人の多くはサッカーそのものよりもサッカーを熱狂的に応援しているファンたちを毛嫌いしているかと思われる。

それはそうと、異なるチームのサポーターたちが無駄に互いを敵視して見下しており、時に見るに絶えない終わりの無い自慢と揚げ足取りの応酬合戦を始めるから問題である。

自分のチームが如何に優れていて、如何に重要なタイトルを勝ち取っていて、如何に有名選手が所属していて…そして反論したら反論したで揚げ足取りが始まる。「審判が悪かった、○○という選手がいなかった、八百長だった、etc…etc..」

アレ?このパターン、カメラ界隈で見たことあるぞ…C社よりもP社、N社が優れている!と何故か写真ではなくカメラの優劣を付けたがる暇な人たちだ!知らんけど、写真撮れよ…なんやねん、延々とビルの窓を撮って解像度合戦でもしてろよ…

話をサッカーに戻そう。サポーターたちの見苦しい敵視は規模の差があれども、かなり日常に見られる。職場や学校で仲の良い人たちでさえ、平和的にとはいえやってしまう。試合の結果次第で周りに無駄に争いが起き、そのたび非生産的な言い争いを聞かされることになる。正直それに付き合わされる身としてはかなり疲れるし、誰が勝とうが負けようがどうでもいいのに、否が応でもそれに巻き込まれてしまう。どうでもええやん、そんなの。

好きだろうと嫌いだろうと、サッカーのせいで人が死ぬ

死ぬほどサッカーが好きな人もいれば、嫌いな人もいる。そして文字通り、サッカーが引き金で人さえも殺すのだ。

というのも上記の理由が原因でサポーターたちが衝突するが、時には重大の試合の場合、結果次第で暴動や銃撃戦に発展することは珍しくないし、その度に無関係な人までが巻き込まれて死ぬケースもかなりある。本当マッドマックスの世界だぜ!ヒャッハー!

スタジアムじゃなければ大丈夫じゃあないか?と思っている読者もいるが、ブラジルではバーなどにサポーターが集まって観戦する習慣があるので、割と全国どこからでも死ぬ可能性はある。もちろん警察も動員されるが、日本ほど甘くはないので普通に殴るし、撃つ。割と無差別に。チームのユニフォーム着ているってだけで執行対象されても文句は言えない。言ったところでブラジルでは意味がないのだ!

信仰の強制:お前はどこを応援している?

日本は「宗教の信仰の自由」に対してかなり慣用な国であるのに対し、ブラジルではキリスト教徒でないと白い目で見られ、ましてや「神なんて信じません」と無神論者を主張した日には石を投げられても文句が言えない(まだ仏教と嘘をついた幾分かマシな扱いをされる)。これについては機会を改めて書きたいと思うが、サッカーに関しても似たような現象が見られる。つまり、お前はどこのクラブを応援しているのか?

そう、ブラジルに住む以上は、宗教の如く、どこかのサッカークラブを応援しなければならない不文律が存在し、破ったものはもれなく火炙りか投石の刑で罰せられる。あるいは単純にゲイと呼ばれる。お前、彼女いないのか?男じゃないな、じゃあゲイだ。アニメ見ているか?じゃあゲイだ。え?サッカー嫌いなのか?ゲイ。多分ゲイと下ネタは万国共通だろう。

サッカーなんて興味はないだろうけど、人付き合いのために嘘でも適当なクラブを答える人もかなりいる。実はこれだけで相当な面倒ごとを回避出来る上に人間関係がかなり円滑になる。間違っても筆者みたいにサッカーなんて嫌い!って言ってみろ!地獄の果てまでゲイと言われるハメになるぞ!いや、でも最近LGBT団体や活動が盛んになってゲイネタが難しくなって来ていると聞いているので、少なくともゲイ呼ばわりだけは避けられるか。

過剰な祝い花火

そして引き分けにならない限り、必ず勝利を祝う花火が打ち上げられる。それも全国各地どこにいても例外ではなく、やったら無駄に長時間花火が打ち上げられる。

純粋にうるさいというのはもちろんのこと、度々火事になることもある他、ブラジルの住宅の大半は庭付きの一戸建てであるため、犬を飼っている人がかなり多く、試合の度に犬がパニックに頭を悩まされる飼い主が後を絶たない。

たかが花火で大げさな~と思われる人もいるかもしれないが、しかしこの場合は日本のコンビニで売っている爆竹ロケット花火ではなく、祭りに使われる打ち上げ花火のことを指している。試合の度に夏祭りや年越し級の花火を住宅街のド真ん中で撃たれたらたまったもんじゃあない。

結論:ブラジル人でもサッカー嫌いになる理由は十分にある

ブラジルではそんなサッカーを取り巻く周りの事情と付き合うの疲れた人がそれなりにいるし、ましてや日本に長いブラジル人からすればサッカーなんてどうでも良いのである。

と、特にオチのないただの愚痴であった。